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「我々が目指すのは、あくまでもオンリーワン企業。そのため市場のニッチなニーズを発掘し自社ブランドで提供したい」―鍛造品メーカー浪速鉄工を率いる堀川社長のビジョンは極めて明快だ。
アイボルト、ターンバックル、自動車部品...。同社は50年に渡り培った熱間型打鍛造技術で、強靱かつ精密な鍛造品を製造してきた。特に重量物の吊上金具であるアイボルトへの信頼は絶大で、国内ナンバー1のシェアを誇る。しかし平成18年に就任した堀川社長は、そのポジションへ安住することに危機感を抱いていた。

守りから攻めヘ―。堀川社長の号令のもと、同社は積極路線へシフトチェンジする。その象徴が、回転式多機能吊上金具「マルチアイボルト」への取り組みだ。従来の吊上作業では、アイボルトを重量物の側面に取り付ける"横吊り"は、ボルト部の破損の恐れがあり禁止されていた。「マルチアイボルト」は、その横吊りにあえて挑戦した同社の開発製品。フックやワイヤー等を通すシャックルが吊上軸に対し360度回転、吊り方向に対しても180度可動し、常に適正な角度を保つ。これにより、横吊り、斜め吊り、引き起こし作業が安全に行えるようになった。
「シャックルやトラニオン軸には鍛造品を使用し強度を高めました。同規格のアイボルトと比べ3倍の耐荷重を実現しています」。
堀川社長自ら全国の顧客のもとに製品の説明に趣き、展示会や広告にも力を入れた。その結果、「マルチアイボルト」は前年度比200%を上回る勢いで売上を伸ばしている。

同社は製造設備のさらなる拡充にも取り組む。この方面で辣腕を振るうのは堀川社長の実弟で専務取締役の眞男氏だ。眞男氏が代表を務めるグループ企業のムサシ工業(株)に、5tのエアースタンブハンマーを導入。これにより、浪速鉄工堺工場とムサシ工業を合わせて2分の1、4分の3、1.0、1.3、2.0、5.0tのエアースタンプハンマーが揃った。
「15g～500kgの製品に対応できるということです。これだけのレンジを持つ生産体制は、全国でも珍しいはずですよ」(堀川専務)。
早くから、鍛造だけでなく加工～検査まで行える一貫体制を構築してきた同社だが、新設備の導入で生産体制はさらに充実。そこに堀川社長のアグレッシブなエネルギーが注がれ、開発路線に拍車がかかる。同社では既に複数の新規開発品で特許を取得済みだ。第2、第3のマルチアイボルトが、再び市場を席巻する。

NCマークを刻印したアイボルトが象徴するように、浪速鉄工は自社ブランドでものを作れる下地がある企業。歴代社長が築いてくれたこの財産を有効に活用し、一つでも多くNCブランドの製品を世に送りたい。マルチアイボルトをお客様のニーズに合わせて進化させた「マルチアイボルトハイブリッド」もその一つ。他にもたくさんの開発商品が控えています。楽しみにしていてください。

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