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下町のちょっとした感動ネタから、ここにしかない凄技
人が集まりコラボが加速する場所までの大阪のものづくりの今を知る、8ケース

環境に優しい石鹸・洗剤づくりとユニークな商品を開発
社員の幸せを大切にする仕組み作りにも長年取り組む

創業から90年以上に渡り、石鹸・洗剤の手作りを大切に守り続ける木村石鹸工業株式会社。今でも職人が手作業で釜を炊き、環境に優しい製品作りを行う。鹸化の具合は油脂の種類・年間の気候・気温・湿度などさまざまな状況によって微妙な変化が起こるため、職人は五感をフルに使い、時にはアルカリの強弱を自らの舌で確かめることもある。絶妙なさじ加減は職人の経験と勘による手作業でしかできないという。3代目の代表取締役木村幸夫氏は1977年に就任し、伝統を受け継ぎながらもユニークな商品を開発してきた。
昭和40年代の銭湯ではタイルを洗うのは磨き砂を使ってタワシで磨く重労働。銭湯の主人に「簡単に掃除できる方法がないか」と相談されて手荒れやタイルの目地が痛む強い薬剤ではなく石鹸成分を主体にした洗剤を開発。1968年に浴場用洗浄洗剤『工アポール』を発売したところ大ヒット。業務用洗剤で当時シェア日本一になる。業務用から家庭用に応用した『湯ド口ハンター』は20年で累計販売約150万個のロングセラーとなった。

ほかにも金属表面処理剤(バレルコンパウンド)は45 年以上もの実績がある。温水洗浄便座『トイレのノズル洗浄剤』は日本で初めて温水式便座のノズル汚れに着目し、それを落とすための洗剤を製品化した商品だ。2006年に特許も取得。類似品が多数登場したが「そんな所が汚れていたのか!」と今まで気づかなかった汚れを落とす洗剤を開発し、新分野のニーズを掘り起こしたのは世界で初めてだった。そのパイオニア精神はトイレタンクの水アカ汚れや黄ばみを落とす『トイレタンク用洗剤』にもつながっている。

同社は商品開発だけでなく社内制度もユニークで、毎年4月に『親孝行強化月間』が行われる。社長のポケットマネーから社員全員に一律一万円が支給されるのだが、15年以上も続いている。「今の自分がいるのは両親、祖父母、ご先祖様と連なる歴史があるから。感謝の気持ちを忘れないように、親孝行のきっかけになればと始めた」と木村氏。5年に1回は社員の親孝行に関する文集が作られる。支給される一万円で両親と一緒にご飯を食べに行ったり、旅行に行ったり、プレゼン卜を贈ったりとさまざまなエピソードが綴られている。入社して1~2年目は恥ずかしがる人もいるが、社内が親孝行をして当たり前の雰囲気なので、親孝行を始める良い機会になっている。
また、仕事と家庭、プライベー卜とのバランスを重視している。その取り組みのひとつとして、何十年も前からほぼ残業が無いという。「幸せな家庭やプライペー卜の基盤なしには良い仕事はできません。ものづくりに一生懸命に、そして社員が幸せを感じる会社にしたいと取り組んできました。今後は10年計画で大きな新工場を建設する予定です」と木村氏は100周年を見据えて社員に夢を与える施策に意欲を燃やしている。

木村石鹸工業株式会社
ADD:八尾市北亀井町2-1-30
TEL:072 994 7333
URL:http://www.kimurasoap.co.jp/

石鹸の手づくり製法作業風景

5年に一度発行される、親孝行強化月間文集。
ステキなエピソードが満載。