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ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
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溶接金網でつくられた東京スカイツリー。
そこに秘められた決意。

ビッグサイトで開催される「機械要素技術展」に向け、社員一丸となってスカイツリーを製作中

縦線と横線が正確なピッチで整然と網目を構成する、ステンレスワイヤーメッシュ

溶接金網、この分野においては独占的な技術を持っているイゲタ金網、「金網は編んだものが多い中、うちのは溶接タイプで交点をしっかり結合して焦げもない、焼けを取り除かなくても使えるんです」。3代目である森崇倫氏は、積極的に勉強会などに出かけ、さらなる変革を模索していた。30年ほど前から付加価値の高いステンレス線を使った、細線径溶接金網「ファインメッシュ」を製造し、新たな販路を開拓。コンビニのフライヤーバスケット、水産加工会社のセイロ網、といった安全性や清潔感が求められる場所でも使用されている。技術や品質には自信がある。だから昨年初めて出した展示会でも仕上がりの美しさや細かい技術を見せていたが、反響は薄かった。そこで6月の展示会では、「アイディアがあふれ出す金網」というコンセプトを立て、変化する素材としての魅力をアピールすることにした。「線径φ0.7~φ6.0mm、これだけ幅広い溶接金網を自社でつくれるところは、国内でもうちだけ。この豊富な種類の金網を駆使して、約3mの東京スカイツリーを製作します」。すでに溶接、曲げの技術はある。まわりの加工屋が次々と辞めていく状況もあり、自分たちが最終加工を手がけなくてはならないという危機感を持つようになった。「昨年、展示会に出展した際、工場のスタッフをブースに立たせてみたら、ものづくりに向き合う姿勢が明らかに変わったんです。製造業は寡黙な人が多いですが、うちは意見を持って発言する人間が多い。そんな現場の声をすくい上げていきたい。この挑戦に一人でも多くの社員を巻き込みたいですね」。森氏の語り口は穏やかだが、その言葉には、自ら未来を切り拓く、強い意志が感じられた。

株式会社イゲタ金網
http://www.igeta-kanaami.co.jp/
東大阪市西堤学園町1-8-9 TEL 06-6789-3661