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ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
現状打破のヒントやモチベーションアップにつながります。

冷間圧造のパイオニア。
プライドを胸に、さらなる革新を。

1927年に7度打冷間圧造法による六角ボルトの製造に成功。商標登録した「星」印六角ボルト。これは1941年当時のもの

雄ネジの転造技術を活かし、転造タップによる内ネジを成形し、ネジ底の材料を盛り上げてネジ山を形成するため、切粉は発生せずに多量生産も可能とした

敷地に誇らしげに鎮座する、多段ヘッダー。これはテクニスの礎を築いた創業者・西田庄次郎氏が、創意工夫を凝らしてつくりあげた国産のヘッダー第一号機。
1955年頃まで「冷間鍛造の生押し六角ボルトヘッダー」として日本市場を独占していた怪物だ。代表取締役社長の西田和子氏曰く、「祖父は旋盤工で、資料もなかった時代に独学で設計し、苦労して自分でつくりあげたと聞いています」。
冷間圧造とはコイル状の素材を加熱せず、圧造機械で力を加えて塑性加工する方法。常温で加工するため熱による歪みが少なく、精度の高い製品を均一につくることができる。
この製法で1927年には六角ボルトの製造に成功。これが現在の六角ボルトの原形となる。100年の時を超え、冷間圧造一筋に歩み続けられたのも、この六角ボルトを源流とする、技術への挑戦が途切れることがなかったからだ。
長い歴史のなかで、この冷間圧造工法をベースにして、その周辺の加工技術を含んだ複合加工技術を確立しており、最近では新技術開発による転造タップの雌ネジ形成量産化も実現させた。
これまでナットは、「切削タップ」と呼ばれる加工法でつくられてきたが、加工中に切粉がナット内部に残り、ボルトとの嵌合不良が発生するなどの問題があった。
そこで転造タップによる独自の加工法により、雌ネジの量産成型方法を確立させ、自動車メーカー向けに供給している。「私たちがものづくりに携わるのは、10万本に1本の不良品も出せない、そんな精度と品質が求められる世界」だという。
そして、その品質をつくるのは「人」だとも。だから同社では、正社員をゆっくりと育てていく。「従業員を大切にしない会社に未来はない、そう考えています」

株式会社テクニス
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