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ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
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SF映画で見たシーンが現実に。「空中映像」が未来をたぐり寄せる。

何もないはずの空中に、ふわふわとしたタンポポの綿毛の映像が浮かぶ。指で触れると左右に振れながら綿毛が散っていく。次に現れたピアノの鍵盤は、触れるときちんと音が鳴る。そんなSFやファンタジーでしかありえなかった世界が、眼の前に存在する。
これは、置くだけで空中映像を浮かび上がらせる新しい光学素子「パリティミラー(R)」をセンサーと組み合わせることで、空中に表示させた映像に指でさわって操作できる「空中タッチディスプレイ」によるマジック。これらを開発したパリティ・イノベーションズは、光学系の研究開発に特化したファブレス企業。
現在は東大阪市立産業技術支援センターに研究所を構え、近隣のものづくり企業との協働も模索している。代表取締役の前川聡氏曰く「パリティミラー(R)で表示された空中映像は裸眼で観察でき、フルカラーで歪みがなく、実在感が高いという特徴を持ちます。任意のものを背景に置くだけで映像がそのまま空中に表示されるシステムのため、さまざまな機器への組み込みや応用が期待できます」。
デジタルサイネージやテーマパークのアトラクションなど、空中映像によって広告やエンターテイメントの表現は大きく広がるだろう。現在は生産の効率化・製品の量産化と同時に、パリティミラー(R)の大型化にも取り組み、家庭や街のいたるところで使われるプロダクトにしていきたいと考えている。パリティミラー(R)が、夢に描いた未来を連れて来る日は近い。

株式会社パリティ・イノベーションズ
http://www.piq.co.jp/
研究所 東大阪市高井田中1-5-3 東大阪市立産業技術支援センター3F TEL 06-6753-8244
本社 京都府相楽郡精華町光台3-5 NICTビル TEL 0774-98-6985

パリティミラー(R)は液晶ディスプレイなどの画像ソースとセットで、置くだけで何もない空中に映像を表示できる結像光学素子。立体メガネが不要だから自然な観察が可能、フルカラーで歪みなく表示できるため臨場感も高い。このため、SF映画やアニメの世界のような表現が可能に(操作者から見える映像を表したイメージ図です。実際にはこの角度からは観察頂けません。)

普通の鏡で見える映像は「虚像」と呼ばれるもの。これは物体から発せられた光が反射して、単に鏡の奥にあるように見える状態。それに対して「実像」は、光が実際に集まっており、その場所にスクリーンを置くと映る像のこと。パリティミラー(R)は、反射した光を平面内では必ず同じ場所に返す2面コーナーリフレクターという光学素子を使って、1枚の板を使うだけで鏡映像である虚像を実像化することに世界ではじめて成功したプロダクト