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ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
現状打破のヒントやモチベーションアップにつながります。
IT化で深まるヒューマンコミュニケーション。
創業から66年、時代の変化に対応したさまざまな商品や技術開発を続けてきた株式会社ダイドー。設立当初の農機具用部品製造にはじまり、その技術を活かした住宅関連事業に参入。市場をハウジングとファシリティに分け、またそこで提供する価値をFixture(動かないもの)とMoveture(動くもの)とした4つの事業領域を構築している。住宅メーカーへのBtoBだけでなく、自社のオリジナル商品を製造販売している。特筆すべきは「Moveture」のカテゴリー。ここでは「動かないものを、どう動かすか」をコンセプトに開発し、「ゆっくりとものが下がる」「反力を使ってものが軽く上がる」といった機構を組み込んで、身長の低い女性でも棚の高いところのものを楽に取り出せる昇降棚を開発したのを皮切りに、アイレベルの吊戸下収納棚や昇降棚、引き出し運動収納を生み出した。オリジナル商品開発のきっかけを代表取締役社長追田尚幸氏はこう語る。「住宅設備を雑貨にしたかったのです。一度キッチンを購入された方はショールームへ足を運ばない。つまり市場はまだまだあるのに提供ができていない現状。しかし施工が不要な雑貨であれば、手軽に取り入れやすい」
すでに多くの商品がホテルや病院、外食産業などに採用されている。「たとえば外食産業にこれらの商品を導入した場合、店内調理も省動線化でき、オペレーションや働き方改革につながります。視線を変えれば見えてくることはいくらでもあります」。先代が建築業界の金属加工を手がけ、その後も時代の流れとともにアルミ、木材、樹脂まで手がけるようになり、今では機構まで自社開発。これらをつなげて考えることでオリジナルの提案が生まれるという。日本の技術力を世界にPRすることと、面白いと思うことはどんどんチャレンジしていくというスタンスで、今年は念願だったヨーロッパの展示会への出展も果たした。
こうした技術とアイデアによる商品開発を進める一方で、ITシステムでも注目されている。同社では情報システムを企画・開発・管理する部署を設け、近年は工場内において情報機器活用のインフラを整備。図面検索システムからはじまり検査照合システムなどを開発し、工場内の業務の効率化・標準化・可視化を実施。今では製造現場にタブレットを導入、担当者一人ひとりが端末により柔軟な生産管理をしている姿が見られる。この「電子加工指示システム」構築とその実績が評価され、「2016年度関西IT百撰」の優秀賞にも選出された。「現場で図面が見られればそこで検査もでき、エビデンスも取れ、データのNG判定もできる。理想の環境を目指して開発を進めました」。システムの導入により残業も大幅に軽減され、現場環境の良し悪しも数値やグラフで理解しやすく、社内共有もできるようになった。面白いことにITを使うことによって、製造現場のコミュニケーションが深まったという。「業務の効率化はもちろんですが、個別のデータを解析して原因究明することで新たな気づきがあり、それが⽣産性向上や働き方改革、さらには企業の成長につながります。今後はサプライヤーにも当社が開発したシステムを提供していきたいですね」
株式会社ダイドー
http://www.daydo.jp/
河内長野市上原町250-2 TEL 0721-53-7201