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難削材も無人一発加工。「自動化」こそ自分たちの戦略。

最近の切削加工技術は高度に発達し、一般材料では自動化・無人化が定着してきた。対して難削材の切削は、損傷が生じることで工具寿命が短くなったり、切削速度が速くできないなど能率上の問題もあり、無人化のハードルはまだ高い。切りくず処理の問題もある。そんな「難削材の無人化」に果敢に挑んだ企業がある。1961年に創業したツチヤ精工は、バルブ部品の継手および関連部品の製作を手がけ、1980年には6軸旋盤の導入で真鍮製継手部品の大量生産を実現し、2004年からはステンレス部品加工を開始。先代から次男と三男が引き継いでからは、挑戦に次ぐ挑戦でここまできた。一昨年『難削金属材の無人運転加工技術の確立』が大阪府から経営革新計画の承認を受けたのを機に、約1年かけてベースとなる機械をカスタマイズ。高圧の切削油をピンポイントで刃物に当てることが要だが、メーカーに細かく注文して理想の切削環境の構築を実現させた。振動切削によって切りくずが細かく分断され、溜まらず絡まない。「他社が人材投入するのに対して、当社は最先端の機械を使いこなす」。それが自分たちの戦略。だから導入時には毎回細かなカスタマイズをおこなっている。最新の機械は素材を入れれば、あとは洗浄して箱詰めするだけ。AIにも興味を示し、将来はAIによる自動測定も見据えている。現在は半導体製造装置の部品をメインに、機械台数が増えるにあたって新工場を増設。社内は伸び盛りの企業特有の勢いに満ちている。

ツチヤ精工株式会社
http://www.tsuchiyaseikou.jp/
大阪市生野区鶴橋3-5-52 TEL 06-6717-0134

低周波振動切削(LFV)技術を搭載した自動旋盤機。管を通せないような場所に、刃先からピンポイントで油を出せるよう配置してもらうなど、こだわりぬいた1台で長時間高精度加工を実現

昨年まで30年以上稼働していた、同社の礎を築いた6軸旋盤。この機械は中身を入れ替えたレトロフィットタイプ。昔の鋳物なので、重さもあり熱にも強い