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身に付けるLEDの可能性を広げ、ニーズに結びつけて大ヒット。

「TERUBO」は帽子のツバに7個の高輝度LEDライトを内蔵。ツバの裏にスイッチがあり、電池部分を取り外せば洗濯可能。両手が使えるため暗闇での作業にも適している

ツバの部分にLEDライトを装着した帽子「TERUBO」は、逆境から生まれたヒット商品だ。こちらを製造するエーエムエンジニアリングは国内外での塗料販売が主力事業。2003年には中国に自社工場を確保して事業拡大を目指したが、リーマンショックで建築業界の景況が悪化、同社もその影響を受ける。そこで着手したのが先の帽子の開発。本業と無関係に思えるが、以前から塗料メーカーや販売店向けに販促用帽子を製作しており、また中国で粗悪なLEDライト付きの帽子を見た記憶があった。これをブラッシュアップすれば面白いものができる。業績の落ち込みを埋める新事業を考えていたとき、その2つがつながった。
開発者である代表取締役の雨皿裕史氏は「デザイン、生地、縫製にとことんこだわった商品に仕上げてみよう」とTERUBOを完成させ、毎年出展するDIYショーで陳列したところ一般来場者による人気投票で1位を獲得。メディアにも取り上げられ大きな反響を呼ぶ。TERUBOの最大の特徴は、ツバの先端に高輝度でクリアな色調のLEDを内蔵した点。ON/OFFもツバの裏面にあるスイッチを押すだけ。LEDは目立つことなく昼には帽子として、そして夜には防災や交通安全具として使える。東日本大震災時には、東北にTERUBOを1000個寄付した。「暗闇のなかで、とても助かった」との声をもらい、自分たちのつくったものが人に役に立つことを実感した。
製造開始以来、リピーターからの声を聞き毎年細かな改善を続けて、品質を格段に向上させたTERUBOは、帽子のみならず「身に付けるLED」の可能性を広げる商品も展開する。2013年には日本郵便が、配達員用ヘルメットへの装着及び配達用ボックスへの取付可能なLEDライトとして正式採用し、「あんしんライト」は昨年度の中小企業新商品購入制度にも認定。不況時の思いつきから生まれたTERUBOは、累計8万個を売るヒット商品に化けた。今夏には新たな機能を盛り込んだ、第2世代となるモデルも発表予定と、TERUBOは会社の未来をも明るく照らしていくようだ。
エーエムエンジニアリングは、技術畑を長年歩んできた雨皿氏のこれまでのキャリアから、創業以来塗料関係の仕事中心で躍進してきた。だが後継者である息子や娘には、氏と同じバックグラウンドが不足していると感じていた。そのため近い将来に訪れる事業承継を見据えて業務内容を見直し、今後は現在好調な「TERUBO」ブランドの展開や塗料色見本帳の製造などを、次世代の事業の柱に置いた企業へと徐々にシフトしていきたいという。

有限会社エーエムエンジニアリング
http://www.am-engi.co.jp/
大阪市淀川区西宮原2-7-59-1004 TEL 06-4807-6156

首からぶら下げて暗闇を照らす「あんしんライト」は、子どもや高齢者に優しいLEDライト。超軽量なうえシリコンカバーで基盤を覆っているから、転倒してもケガもしにくい

一般の作業用ヘルメットに磁石で装着するライト「テルボライト MG」。洋服にも装着でき、これひとつで夜間の作業もおこなえるほどの明るさをキープ