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ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
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思い出をカタチに刻むメモ
デスクの上で旅は続く。

使用するたびブロックから作品が現れ、アートが完成する「OMOSHIROI BLOCK」。この「 Kyoto- 華 -」では 150枚の紙を重ねて清水寺を再現。全23種類

紙は1枚1枚レーザー加工したものを、手作業で積み重ねて制作している。検品で紙が切り取れてない細かな部分は、ピンセットを使って切り離していく

使うたびに美しい情景が現れる。上質な紙に彫刻のような細工を施された「OMOSHIROI BLOCK」。少しずつ姿を見せる、その過程すら愛おしい。「一瞬を重ねながら刻み込まれていく記憶のように、メモをとる日常がOMOSHIROIコトとなり、その役目が終わればインテリアとして楽しんでいただけます」。そう語るのは企画営業部兼広報マネージャーの妹尾恵理子氏。建築模型制作からスタートしたトータルデザイン会社トライアードが初めて手掛けた商品は、そんな想いから生まれたプロダクトだ。2017年末に発売したところSNSで瞬く間に拡散され、大きな反響をよんだ。トライアードは1999年に創業。「模型も最初のスタートは紙、そういう意味でこの商品は原点回帰」と語る堀口英人代表取締役。「弊社が制作する模型は正確、緻密なものと評価をいただいております」。使用する前のワクワク感と使用した後の美しいデザインを表現し、私たちの身近なメモブロックとしていつまでも手元で楽しんでいただけるようにとたどり着いたのが「OMOSHIROI BLOCK」だ。デザインのモチーフには日本の建築物の構造美・デザイン力・技術が結集したものも多く、完成イメージを再現するにあたっては模型製作の経験が活かされている。そこには同社の建築愛が炸裂している。紙も日本の伝統色にこだわり、手触りも固すぎず、切り取る瞬間の引き心地のよい紙を厳選して使用している。同社のスローガンは「-OMOSHIROIをかたちに-」。これには「面白い→光が差し込み、目の前がぱっと明るくなり、ビジョンが開ける」という意味が込められている。また現在ではWebやプロダクトのデザイン、地域のブランディングまで手がけ、多角的なアプローチで「OMOSHIROI」を実践する。社名のトライアードも色相の3点を結ぶバランスが取れた色にちなんだもの。「“OMOSHIROI”を核に企画・デザイン・ものづくりがトライアングルを結び、それぞれ柱を持ちながら重なりあって“OMOSHIROI”かたちになっていけば、ワクワクする会社になると思うんです」(堀口氏)

>紙面からの続き

模型の制作からスタートし、現在はトータルデザイン会社として事業展開するトライアードでは、インターンシップ事業も手がけている。これはオーストラリアにあるグループ会社と提携して、現地でさまざまなネットワークを構築したもの。たとえば航空会社でCAを目指す人に向けたプログラムでは、ブリスべン国際空港で、CAとグランド(地上)スタッフの体験ができる。ほかにもホテルやスポーツでの活躍を目指す人に向けたスペシャルなプログラムも用意されている。「次世代を担っていくグローバルな人材育成に、なんらかの形で関われたら」(堀口氏)との想いからはじまったプロジェクト。異文化を体験した彼らといずれ一緒に仕事をしていけるようになれば、同社にとっても世界観を共有でき、また新たな展望も開けてくることだろう。


株式会社トライアード
https://www.triad-japan.com/
大阪市西淀川区御幣島2-18-25 TEL 06-6473-5800

ポストカードサイズのSCENERYシリーズ は、嵐山の竹林や京都の紅葉など風景や 情景を切り取ったもの。こちらは凛とした静 けさを伝える「京の清涼」

大阪ならではのプロダクトを開発していきたいと、現在製作中のたこ焼きのプロトタイプ。ブック型でパラパラとめくっていく。爪楊枝や船までじつに芸が細かい