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ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
現状打破のヒントやモチベーションアップにつながります。

時代を映す新製品開発でユーザー目線のものづくり。

手渡しできない鍵の共有に大活躍する「キーストック」。大型の自動車キーやカードキー、複数の鍵を一度に収納可能。アダプターを付けレバータイプにも対応

明るい場所以外での使用を想定して、ダイヤルがよく見えるようにLEDライトを組み込んだ「NEWキーストックハンディ(LEDライト付)」

ホームセンターに数多ある商品のなかで、目当ての品を探すのは素人にとって至難の業。そこに眼をつけたのがノムラテックだ。最近はDIYを趣味とする人も多く、女性が購入することも増えた。同社ではそんな人たちが簡単に取りつけられる商品を開発してきた。ホームセンターで販売するものに関しては、基本ネジや釘を使わない。「ドライバーを持たない一人暮らしの女性もいる。そこで開発では、工具を使用しない取り付けでも、しっかり防犯効果がある商品や、重量物でも掛けられるフックの取り付けを、身近なコイン1枚で可能にする工夫をしました」。そう語るのは代表取締役社長の野村憲市氏。さらに写真入りの詳しい解説をつけ、着実に売上を伸ばした。
ノムラテックは建築金物の商社に勤めていた先代が独立起業。簾をアルミサッシに取り付ける「すだれ掛け」、手で開けられない補助錠「ウインドロック」などをヒットさせた。同社をさらに躍進させたのは、セキュリティへの意識向上。防犯関連商品が注目を浴びるなか、今もっとも売れているのが、鍵の受け渡しに用いられる「キーストック」。工事現場、不動産業の物件管理、在宅介護、最近では民泊と需要が増え、ニーズに合わせて商品も次々と開発。これも自社設計している強み。市場動向をつぶさに見ながら仕様を変える対応力もある。年に一回、社長も含め営業担当が全国のホームセンターをくまなくまわり市場調査するという。また開発にあたってはCADと3Dプリンタを導入し、社内で速やかに試作できるようになった。扱う素材は金属・樹脂・木材・繊維まで幅広く、それもファブレスだから可能なこと。今も一緒にものづくりを進められる協力会社を求めている。
これまで国内のユーザーに喜んでもらえる商品をつくり続けてきた。今後は「海外の人たちに、日本企画の良い製品を使っていただきたい」と考え、国内でものづくりに協力して共に開発に携わってくれる仲間(国内工場)を探したい。「ものづくりは何でもイチからやりたいと思いがちですが、人に任せることも大切。ニーズに合わせて製品が細分化するように、私たちも世の中の流れに対応しながら、つねに変わり続けないといけない」

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建築金具の世界に参入したのは後発にあたるため、パッケージを赤や黄色といった派手な色使いにし、売り場で目立つデザインにしてきた。なおかつ開発当初から商品説明も細かく丁寧にして、誰でも使いやすいものを心がけてきたという野村氏。そうなると、どうしても掲載する写真が増える。そのため現在の場所に移転した際には、思い切って社内にパッケージやパンフレットなどの撮影スタジオを整備。和室と洋室、浴室、洗面台、さらにベランダ、玄関ドアと、自社商品が設置されるあらゆるシチュエーションが用意されている。こちらで詳しい取りつけ方法の作業手順や商品の使い方などを撮影して掲載することで、「使う人の目線に立った」パッケージがつくられるというわけだ。

株式会社ノムラテック
https://www.nomuratec.co.jp/
大阪市生野区巽西4-4-26 TEL 06-6756-7301

地震による震度5前後の揺れを感知し外側からロックする「耐震ロックスーパーひらかんゾー」。開き戸の上面に取りつけ、揺れによる収納物の飛び出し防止

ストッパーの上げ下げを、立ったまま手の位置で操作できる「ハンディードアストッパー」。車椅子に乗っていても、腰の位置でラクに操作が可能