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みずから切り拓いた無機被膜表面処理の可能性を追求し続ける。

ステンレスに液剤を塗布してバーナーの火であぶる実験。未塗布部分(左)と塗布部分(右)の変化の違いに注目してほしい

透明1μmの被膜、耐熱1000℃で金属変色を防止するQRコード認証。部品ごとに付ければ、管理性能も上がる。無機被膜に新たな付加価値を与えた技術だ

カップリング反応とは「2つのものを結合させる化学反応」で、特に異なる2つのものがくっつく場合をクロスカップリングとよぶ。1993年からアダプトではセラミック液剤の開発ブレンド、液剤を用いた量産法のプロデュースを開始。「クロスカップリング剤を使って金属をガラス化させることによって、透明高温耐熱、耐薬絶縁被膜処理といった要望に応えた液剤のブレンディングをし、この液剤を用いた製造工程をパッケージにしてメーカーに提供しています」と西田向伯代表取締役は語る。
有機皮膜と比較しても、同社の無機皮膜は1500度までの高温下でも機能を損なわず、表面に硬さを加えられることが特長で、そのうえに絶縁性、耐薬品性、防錆性など、顧客が求める機能を無機溶剤の組み合わせで実現する。同社が扱う無機被膜は使用時間の制約がない「一液」性でプライマーも不要。皮膜表面の色を変えることのない「透明」性で美観を保ち、乾燥工程を必要としない「常温」性にこだわり、使いやすさやコスト面でも優位性を保つ。これまでも高温高圧になるタービンの羽などの表面処理にも対応。金属以外でも液体に弱いポリカーボネートに塗布して耐溶液性を付加させ、車のヘッドライトの黄ばみ防止にも使われた実績を持つ。たとえば24時間365日稼働する製造現場では機械が故障した場合、原因解明のため部品ひとつも「いつ」「どこで」つくられたかを調べる必要がある。しかしその部品が黒焦げになっていては追跡しようがなく、現場での課題となっていた。これを解決するのが耐熱性のあるQRコードの直接印字。これなら消耗部品であってもトレーサビリティが確立される。また被膜は「金属という資源の延命化」でもある。無機被膜表面処理という言葉、そしてジャンルをつくったのも西田氏。その語り口にも業界のパイオニアとしての自負が感じられた。

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会社のトレードマークに掲げているのは「シリカ(SIO2)」の分子構造。ブログを拝見すると専門用語が飛び交う。そして扱うのも非常にニッチなジャンル。だからよく出身大学や学部を聞かれるという西田氏。当然、理系と思われるが本人曰く「叩き上げの文系、経済学部出身なんです(笑)」。大学卒業後、入社した製薬会社でクロスカップリングに興味を覚えた。働きながら知識を積み、在籍時に知り合ったクロスカップリング剤の会社で修行して基本的なことから学び、同社のレシピや取引先などを引継いで5年ほどして設立。たとえ大学の理工学部を出ていても液剤を触ることは少ないという。そのなかでも「無機」を専攻するのはさらに少数。そんなマニアックな世界。「だからまずは、どれだけ認知してもらえるかが大切。まだまだこの技術を知らないお客さんも多いので、いかにターゲットを絞って、技術開発の人に伝えられるかが勝負だと考えています」

株式会社アダプト
http://fscadapt.jugem.jp/
八尾市刑部4-109 TEL 072-927-2748

50CCのバイクのマフラーに被膜塗布した例。メッキの上に塗布することで、3年間雨ざらしの状態で乗っても、高温になる部分の色が変わらないことを実証

宝石店と共同開発した「アレルギークリア」。 ピアスに塗るだけで、金属のイオン化をブロックして、金属アレルギーを防いでくれる