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ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
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キャラクターもの依存から脱却、
オリジナル商品で活路を拓く。

小さい時に使っていたお弁当箱といえば、大好きなキャラクターの絵柄がついたものという人は多いだろう。1971年創業のプラスチック家庭用品総合メーカーの小森樹脂は、このキャラクター弁当箱で定評のある企業。だが2016年に就任した小森聡明代表取締役社長のもと、同社は今一度オリジナルに立ち返って新たな飛躍を目指している。
かつてキャラクターものといえばヒーロー・ヒロインの戦隊物が中心だったが、今ではアニメやゲームなどキャラクターの選択肢が増えたうえ、親が子どもに持たせたいものも変化。また量販店の減少で売り場面積が縮小、競合他社との競争も激化した。こうした時代の流れを見据えてキャラクター依存から脱却、オリジナル商品の生産の比重を増やす方向転換だ。とはいえ、これは原点回帰。同社はもともと取り出しやすい箸箱をはじめ、オリジナル商品でスタートした会社だからだ。現在オリジナル商品として同社の認知度を上げているのはドーム型ランチボックスシリーズで、毎日使うものとしての使い勝手を徹底追求している。ドーム型のフタは美しい盛り付けをそのままキープ可能。底にはエンボス加工が施されているので汚れもカンタンに落ち、丸みのあるコーナーも洗いやすい。これらオリジナル商品の売上は右肩上がりで、OEMの受注も増えた。
同時にさまざまな取組みにも着手。2018年4月に承認された経営革新計画では、2つのテーマを掲げている。まずは生産・在庫管理システムを導入し、手間のかかる棚卸や在庫管理を効率化させ、余力を企画・営業に移行させるというもの。これが完成すればスムーズな生産体制が確立し、繁忙期と閑散期を平準化できる。もうひとつは「海外市場向け商品の企画開発及び新規販路開拓」だ。海外進出では後発となる同社が取った秘策は、国内とは逆にキャラクターものの展開。「海外でも人気の日本製のキャラクターを日本製のお弁当箱で売る」。国内ではオリジナル商品に磨きをかけ、同時に海外では切り札としてキャラクターを使う。これまで築きあげた同社の財産があるからこそできる戦略だ。

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弁当箱を開けた瞬間、「美味しそう」と感じるにはやはり盛りつけが大切。しかし弁当箱は基本、密閉された箱だ。中を仕切っても彩りを添えるフルーツを一緒に入れると、おかずの熱や匂いが移って美味しさがそこなわれてしまう。別で小さなタッパーに入れたり、二段タイプにすると今度は荷物がかさばる。そんな悩みを解決してくれるのが同社の「セパレートランチボックス」。これは「ひとつのお弁当箱でいろんな使い方ができたら」という発想から生まれた。人気のドーム型のフタが盛りつけをキープ。フタを開けてみると中皿と仕切りが入っており、それぞれ取り外し可能。中皿のフタもドーム型なのが嬉しい。この中皿にフルーツやサラダ、または保冷剤や調味料など、ごはんとは別にしたいものを入れることができ、そのときどきのメニューに合わせて、さまざまな使い方ができそうだ。これがあればランチメニューの幅が広がることまちがいなし。

株式会社小森樹脂
http://komorijushi.co.jp/
東大阪市玉串町東3-1-11 TEL 072-966-1655

今春発売予定の新作フレスコシリーズ。箸箱は中で箸がカタカタならないようストッパーがつけられ、スライドした本体が折れ曲がることで箸が取り出しやすい

商品のよさを伝えるために特徴をポップで伝え、見本を手にとってもらえるような小型の什器を販促物として制作し、売り場に提供している