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ものづくり企業の次の一手は? 毎号6つの旬な記事で熱い「変革と挑戦」を紹介するモビロク。
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紙を知り尽くした最適な
パッケージ提案で躍進。

化粧品や健康食品などの化粧箱を数多く手がける同社では、「箱自体がアイキャッチ効果を狙える店頭POP」として手がけることも多い

昨今、デザインや印刷の世界ではネットでの格安サービスが数多くあるが、化粧箱の製作では少ない。それほど種類が多く難しいということだ。箱は梱包材であると同時に、大切な商品の顔。用途によって丈夫さや印刷の美しさ、風合いなど求められるものが異なる。「化粧箱の形状やデザインで商品の売れ方は全然違います。市場は小さいが、まだまだ伸びる可能性を秘めています」。そう語るのは徳光紙業の徳光宏昭代表取締役。思えば日本はパッケージ王国だ。百貨店からドラッグストアまでありとあらゆる店頭に、それぞれの中身にふさわしい包装をまとった商品がひしめき合う。そのなかで手にとってもらうために、パッケージの役割は重要となる。
1972年に紙の卸業として創業した徳光紙業は、30年ほど前にトムソンの機械を入れ紙器製造も開始。卸と製造の両方をやる会社はとても少ない。現在では食品や健康食品・酒類関連の化粧箱をはじめ、あらゆる要望に応じた箱や紙加工品を製造するなど独自の路線を確立。またCADで立体の展開図を作成し、ニーズに合った提案もおこなう。化粧箱は工程が多く、多岐にわたる業種と取引のある同社にはさまざまなノウハウが蓄積されているから提案も可能である。おかげで最近はデザイナーからの依頼も増えてきた。ユニークなのはその働き方。機械を新たに導入しても、すぐには専門の人を雇わないという。まずは社長みずからが機械を扱えるようになってから雇用する。機械のことを理解しているので言葉の重みも変わるし、現場への無理強いもない。また中小企業では珍しく部署替えも頻繁におこなうという。たとえばトムソンを扱う職人は、運転手として入社して営業も経験している。このように従業員がひとり2役や3役できるように、ローテーションで配置変えをしては、おのおのがスキルを磨いていく。お互いの立場がわかるからスムーズに仕事が進む。「働きやすくしていったら、知らない間に働き方改革ができていた」と徳光氏は笑う。だから若い社員も多く、離職率はきわめて低い、理想的な環境が整っている。

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徳光紙業では毎年、日帰りもしくは1泊2日の社員旅行をおこなっている。社員旅行をおこなうだけでもコミュニケーション効果はあるが、同社ではより目的にフォーカスした内容となっているのがユニーク。「たとえば広島に行ったときは平和記念公園・原爆ドームを見て、呉で戦艦大和を見学というように、ものづくりの現場+文化や伝統が基本。行く先を決めたら、その途中にビール工場や酒蔵見学も入れて、製造現場をみるだけでなく試飲したり、おみやげも楽しめるようにしています」と徳光氏は語る。学びの要素もありつつ、企画の内容が硬すぎず、メンバーがリラックスして参加できる絶妙なバランス。なんだか「オトナの修学旅行」のような楽しさがある。特に学びの要素に関しては、社員からも「興味はあっても、自分ではなかなか行けないことが多いので楽しみにしている」と好評だ。

徳光紙業株式会社
http://www.tkmt-sg.co.jp/
本社 大阪市平野区加美南3-6-10
工場・事務所 大阪市平野区加美南4-4-48
TEL 06-6793-2177

トムソン加工した製品をのり付けし、貼り合わせるサックマシーン。転写式の糊付けは、高速に流れる箱1つひとつにピンポイントで当てるため、タイミング調整が必要

紙器のもととなる厚紙を、展開図の形にくり抜くトムソン加工。ベースの木板に溝を掘り、溝の部分に刃を入れた型を利用することで、型を作成していく