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クロムフリー電解研磨を
ベースに多彩な色加工で
アルマイトの可能性を広げる。

加工によってアルミニウムの表面にできた、肉眼では見えない小さな穴に染料を入れていく。複色による染色技術で求められる色を再現。豊潤な色彩、多段階の光沢に驚かされる

写真のような陰影、グラフィックのような濃淡を表現する高詳細アルマイトを開発し、アーティストとコラボして個展を開催。 ©玉村聡之

「アルミニウムは、酸素と結びついて酸化皮膜をつくる。それが白いサビとして現れ、それ以上腐食しにくい。自然発生する酸化皮膜は薄いので人工的に皮膜を分厚くするのがアルマイト加工です」。そう説明するのは、電研の専務取締役桐島誠氏。同社は1960年の創業以来、医薬品や化粧品の容器をはじめ多様な製品のアルミニウム表面処理に携わってきた。最大の特徴は「毒性の高い六価クロムを使用しない電解研磨技術」。主流である化学研磨にくらべ、電流を流して金属表面を溶解させる同社の電解研磨技術は時間をかけ限界まで光沢を出すことができ、バフ研磨が不要となる。ただし、電解研磨には六価クロムの使用が一般的だ。30年以上前からクロムの規制はあり、RoHS指令(特定有害物質使用制限指令)では「非含有」と定められるなど年々厳格化。そこで社長である桐島張央氏は研究と実験を重ね、画期的な「六価クロムを使わない電解研磨処理」技術を開発した。
カラーバリエーションの豊富さも特徴。同社のアルマイト加工はアルミニウムの表面を鏡のような質感にしたり、逆にマットな手触り感を表現したりするなど、仕上がりを劇的に変化させることができる。また、調色した色でカラフルにと、無機質な金属に表情を与える装飾性の高い加工だ。染料メーカーの色だけでなく、そこにない色=複色をつくるのも得意とする。それが可能なのは化粧品メーカーからの仕事をしていくなかで、求められる繊細な色味の違いと厳しい品質基準に応えてきたから。他社でムラが出ていたものでも、同社なら安定して色を出すことができる。さらにこれまでは濃淡の表現ができなかったが、生野区で独自の水圧転写技術を持つBIG ONESの技術をマスキングに活用することで実現した。
桐島専務取締役は、こういった技術をもっと広めたいという。なぜならアルマイト加工が目にふれるのは一部で、その大半は隠れてしまう部分に使われている。「これからはデザイナーやクリエイターと組んで自分たちが発信していく時代。アルマイトの可能性を広げ、より身近に親しんでもらえるように、まずは個人からでも気軽にオーダーできる、そんなアルマイトメーカーになりたいですね」

>紙面からの続き

生野区の町工場からはじまった
「ものづくりセッション」。


大阪市生野区は市内でもものづくり企業が多いエリア。ここで面白いコミュニティが生まれつつある。その名は「ものづくりセッション」。発起人は区内で工務店を営む木村貴一社長と、「生野区ものづくり百景」を担当している生野区役所の武田雅幸氏。町工場の人たちから厚い信頼を寄せられている人物だ。彼らがものづくりをしている人たちだけでなく、デザイナー、建築家、コンサルタント、大学教授など、さまざまな人々が同じ空間に集う「場」をつくろうとはじめた。異なるエリアの人も来やすく、これまで出会うことがなかった異業種間で何か製品をつくろうという話が生まれることもある。2019年1月から2カ月に1回のペースで開催しており、電研の専務取締役桐島誠氏も参加している。
「刺激も多いですし、ここで知り合った方に治具で使うチタンの溶接をお願いしたら、驚くほど精度の高いものに仕上げてもらえて。それによって社内の仕事がワンランク上がっています」。会では文字通り、セッションのごとく互いの叡智をぶつけた議論が展開されており、いつの日か生野区の町工場が想像し得なかった製品や技術の発信地になる、そんな予感をさえ感じさせる。

有限会社電研
http://denken-alumite.co.jp/
大阪市生野区中川西3-5-17
TEL 06-6712-4105

カスタムバイクショップ広工房

バイクパーツへのアルマイト加工もてがける。ジュラルミンやその他のアルミニウム合金など従来のアルマイト染色加工では色ムラが大きくなるため、独自の前処理を行いながら色ムラを最小限に抑えた