展示会&WEBを活用して情報発信。新たなビジネスモデルの構築へ。

成功のツボ

挑戦:顧客が何を求めているかを追求し、自社の潜在的価値を徹底的に分析
成果:自社Webページで1日平均54,000円の売り上げを実現

社長みずから率先し、自社の強みを見出したWEBのリニューアルで新規受注件数を大幅アップさせた、ソリッドツール。図面管理・工程管理システムも導入されたIT戦略で、業務の効率化にも成功している。

足で稼ぐ営業からWEBでの集客へ。技術の「さらにその先」を見せる

 ITという道具を使いこなし、経営にそして最終目的である利益につなげていけるかが企業の課題となっている。情報発信のために超えるべきハードルを乗り切った結果、新規顧客の獲得に結びつけたのが、株式会社ソリッドツールだ。
 1972年創業、ダイヤモンドの次に硬い「超硬合金」を材料にした切削工具を製造・販売する同社では、製造現場の課題を解決することをモットーに、「そこだけで使われる特注工具」の製造に力を注いでいる。

30年勤続者を筆頭に熟練工技術と最新の機械設備を融合して、他社ではできない超硬切削工具の製造を手がける

 これまでは、大手企業との取り引きや協力企業として実績を重ねてきた。しかし「いくら優れた製品をつくっても、発信しないと届かない。これまでの足で稼ぐ営業では限界があると感じ、自社サイトを立ち上げることにしました」代表取締役の田中英雄氏は、そう当時を振り返る。
 最初は飛び込み営業でやってきた会社に任せたが、決められた雛形にデータをはめ込むだけで、更新もできないものだった。これでは意味がないと、大阪産業創造館でおこなわれたWEB制作のシリーズセミナーに参加。そこで出会ったコンサルタントと一緒に、イチからWEBをリニューアルすることになった。

顧客が何を求めているか?“お客様目線”を徹底的に追求する

 WEBのリニューアルではまず、「超硬工具というものを多くの人に知ってもらうこと」、「切削工具や切削加工で困っている人の悩みを解決すること」を中心に構成が考えられた。具体的な事例も数多く掲載され、この工具を使うことでどう変わるか、悩みをどう解決するか、という“お客様目線”を意識したものになっている。

プロファイル研磨機では、加工物の影を拡大照写しながら超精度で成形。刃先を50倍に拡大し、大きなスクリーン上に映しつつ、複雑曲面や球面を加工する工具の仕上げ面の精度を上げていく

 WEBを公開してすぐ反応は出た。「今までの新規顧客受注は、全国から100社以上、既存顧客になったのは45社。1ヶ月平均売上110万円、年間で1千万円ほど売り上げがアップ。1社から100万円以上の受注することもあります」コンサルタントとは今も月に1回、今後の展開を話し合う。そこからメルマガ配信や展示会への出展へと広がりをみせている。
 「展示会出展→WEBへの誘導→見積もり→受注獲得、このサイクルが確立されつつあります」セミナーで学んだことは多い。
 「企業を求めて顧客が検索エンジンで情報を探す場合、欲しい技術に関するキーワードで検索しますが、当社の場合だと“製作工具”“ドリル”と入れるだけで、検索に引っかかりやすくなります。現状のものづくり企業のサイトは、そういうことを知らない方が多いんです」

ITという武器を使いこなし、経営、そして利益につなげていく

 WEBサイト以外でもITを活用している同社。文書管理・図面管理システム「デジタルドルフィンズ※1」は、5万枚あるストックから、問い合わせに対してすぐ図面を取り出せる。また工具はメンテナンスも重要な仕事。使っていくうちに新たな要望があり、そのたびアジャストさせるため、このソフトは必須となっている。

大阪府のものづくり助成金を利用して、3Dですべてが動く機械を導入。生産の効率化のためにも、職人の高度な手作業の技術を、機械へと落とし込み、高品質を保ったまま匠の技を再現する

 昨年からは工程管理ソフト「アシストシリーズ (Assist series)※2」も導入、加工時間を現場に意識させ、売り上げや顧客の情報がリアルタイムで得られるようになり、さらにそれを駆使して営業戦略も練りやすくなった。WEBは社長みずからWordPressを使って、すべてのコンテンツの更新を手がけている。
 今後は工具に対する事例を増やし、一点の工具に特化したスペシャルサイトを展開したり、アイデアは次から次へと出てくる。
 「サイトを成功させるためには、大きいことを言わず、会社の規模にあったことを書くのが大切ですね。それとWEBは継続して発信することに意味があるので、とにかく走り続けないとダメです」

※1:大阪ものづくり優良企業、株式会社デジテックが開発したソフトウェア。
※2:大阪ものづくり優良企業、枚岡合金工具株式会社が開発したソフトウェア。

ブレイクタイム

Q

趣味は何ですか?

A

釣りとバイク、冬はスキー。時間があればテニスをしたり、けっこうアウトドア派です。

Q

ターニングポイントはいつですか?

A

こう見えて、若い頃は引っ込み思案で、人見知りする方でした。22際の頃、大好きなバイク関係で知り合った人が、とても明るい人で、その人がきっかけで、考え方も前向きになり、性格も明るくなったと思います。それは社長業にも活かされています。

企業概要

企業名
株式会社ソリッドツール
コア技術
超硬工具をオーダーメイドでつくれる社員力。プロファイル技術
代表者
代表取締役 田中英雄
住所
〒581-0851 八尾市上尾町5-1-12
電話番号
072-925-6333
企業紹介
http://www.m-osaka.com/jp/takumi/4031/
企業HP
http://www.solidtool.co.jp
資本金
1000万円
従業員数
20名

認証:大阪ものづくり優良企業賞2011、2014年度関西IT百撰受賞