鋼構造物の長寿命化と、環境負荷低減を同時に解決するメーカーへ。

成功のツボ

挑戦:MOBIO-の積極的な活用、国顕彰事業への挑戦
成果:近畿経済産業省『関西ものづくり新撰2017』を受賞

常温亜鉛めっき塗料に特化したメーカーとして、国土交通大臣の特別認定を受けた品質、その使いやすさから全国的に認知されているローバル株式会社。平成26年度には「大阪ものづくり優良企業賞2014」において上位賞である「夢・未来・TRI賞」を受賞。さらなる高みを目指して時代を見据えた新製品「水性ローバル」を開発し、近畿経済産業省『関西ものづくり新撰2017』にチャレンジ。申請書作成では、ものづくり優良企業賞の担当職員からフォローアップも受け、見事受賞を勝ち取った。

「常温亜鉛めっき」という特殊塗料に絞り込んだ商品展開。

 年間降水量世界第2位の日本において、屋外建造物や道路関係へのさび対策は必須条件。そんなさび止めに特化したオンリーワンな企業がある。ローバルは1955年創業以来、亜鉛めっき補修というニッチな分野に特化し、溶融亜鉛めっきと同等のさび止め効果が得られる常温亜鉛めっき塗料「ローバル」を製造販売してきた。一般的なさび止め塗料との違いは、そのメカニズム。通常であれば塗料は塗り重ねて層となった塗膜が、水や紫外線などをバリアすることによってさびを防ぐ。反対にジンクリッチペイントは鉄面に異種金属である亜鉛を載せることで電気を発生させ、被膜となる亜鉛が犠牲になり徐々に反応することで鉄本体を守る。一般塗料は塗膜に傷が入るとそこから雨水が浸入し、傷周辺からさびが広がってしまうが、ローバルは塗膜一つひとつが球状として独立しているため、たとえ傷ついてもボロポロと剥がれることもない。塗膜に傷がつき鋼材が露出しても、そのまわりの亜鉛が鋼材の露出した傷部を保護し塗膜の下にさびが広がることを防止する。つまり「もろいけど、強い」。実際、高い強度が要求される立体駐車場の車載パレットなどに採用されているが、これまでクレームがついたことは一度もない。

独自に配合された原料を攪拌機で混ぜ合わせ、自動充塡機で小さな缶に詰めていく

 よく使用されるのは昔から続く溶融亜鉛めっきの補修やタッチアップ。溶融亜鉛めっきをするには460度前後の高温で溶かした亜鉛の水槽に鉄鋼材を漬けることが必要で、そのため工場でしかできなかった。さらに現場で亜鉛めっきしたものを溶接や切断する際に不めっき部が露出しても、工場に運ぶわけにもいかない。そこに救世主のごとく登場したのが、「現場で塗れる亜鉛めっき」ローバルだ。開けて撹拌すればすぐ使用可能な「1液タイプ」なので鉄やめっき面に直接塗るだけ。プライマー塗装も不要。その優れた防錆性能は溶融亜鉛めっきの最高グレード(HDZ55)と同等であると証明され、国土交通大臣認定を取得して、「百年住宅に貢献できる塗料」であるという国からのお墨付きもある。

ブランディングからPRまで、少数精鋭ならではの独自性。

シンプルで美しい「R」のロゴが目印。創業の地・東淀川区から交野へ、会社の成長とともに工場の規模も拡大してきた

 ローバルは田中氏の父である先代の時に、商品名を社名として採用。工場の規模も拡大し続けているが、会社の方針として少数精鋭というのは昔から変わらない。その理由は「時代ごとにニーズが複雑になっており、常に小回りがきく体制で考えながら生産性を上げていくことを追求しているから」だという。また社内には、いわゆる外回り的な営業職はいない。問い合わせに対し真摯に向き合い、ヒアリングから提案するようなスタイルをとり、商品の用途に合わせ、ここの客層には動画で販促をかけようとか、メディアを使うところ、カタログでしっかり見せるところと使い分けている。「最近では長年のさび止め実績と製品品質への信頼から、従来の補修分野に加えて、大面積に塗られるケースも増えてきました。大面積に塗装するような工事では、普通なら下塗り、中塗り、上塗りといくつかの材料を塗装しなければなりません。しかし、当社の商品はそれ一つの単膜で、最高の防錆性能を発揮できるので結果的に工程が少なく工期短縮、ひいてはコスト削減につながると好評です」

祖父が創業して3代目にあたる、田中孝篤 代表取締役。2016年1月から代表に就任した

 建築物ではコンクリートの打ちっぱなしと相性がよく、また、艶のあるステンレスをマットな質感に仕上げることもできるため、著名な建築家の作品に使われることも多い。最近では風合いを楽しむように使われることも増えた。「革や木材のように経年変化するので、“ローバルは素材だ”と言われる建築家もいます」
 もうひとつ面白いプロモーションがYOU TUBEで発信する動画だ。PR担当者が多くのファンを持つアマチュア無線ユーザーに向けてフリーペーパーを発行したり、専用動画を配信している。これは自社製品がどういう分野で使われているか調査したところ、通常の公共工事や道路のメンテナンス、鉄道や電力関係以外のもの、特にアマチュア無線ユーザーが多くいたことを受けての活動。ほかにもプラスチックに塗ってUV劣化防止に使うという人もいたとか。「もちろんさび止め塗料として使われる分野も大切ですが、こちらがまさかという使い方って面白いじゃないですか。新しい切り口を探していくのも大切だと考えています」

環境や人体に負荷をかけないエコロジカルな、次世代のさび止め塗料開発へ。

環境にやさしい水性ローバル、今後は一斗缶タイプや携帯に便利な小さなものまで、豊富なサイズでラインナップ予定。これまでも誰もが塗れる手軽さも手伝って、自分たちでは思いも寄らないファン層も獲得してきたが、これによってさらにニーズの拡大を狙う

 もともと同社ではイギリスの会社の製品を輸入、販売をおこなっていたが、その会社が製造を辞めるにあたって、ノウハウを受け継ぎ、精度を高め生産をスタートさせた。今では海外での販売も始まっている。日本人のきめ細かな感性が商品の性能を引き上げ、進化し続けてきた。現在、同社が注力しているのは常温亜鉛めっき「ローバル」の水性化だ。橋梁や高速道路など重防食の分野で用いられる技術を、住環境など幅広い分野に適用できるように開発。「水性ローバルは60年にわたるロングセラーの「ローバル」をさらに進化させ、より安心・安全・快適に使って頂けるように開発した商品です。水からできていますので、臭いもなくシンナー中毒の心配もありませんし、シンナーによる爆発事故の危険性もありません。こういった製品を作り出すことに、メーカーとして社会的な意味があると考えています。」
 次世代ローバルのコンセプトとして、「環境に負荷をかけないエコロジカルな製品開発」を掲げる田中氏。安心・安全・快適という観点から見た時、究極的な溶剤は「水」であるとたどり着く。ただ水と亜鉛を組み合わせると水素ガスが発生するため、非常に難易度が高い。そこで研究を重ね、水に反応する亜鉛の特性をあらゆる角度から考察し、その発生を防ぐことに成功した。この技術では特許も取得。それが「水性ローバル」における『ものづくり新撰2017』受賞にもつながった。「今はものが余っている時代、これからは社会的課題を解決できる企業でなければ、受け入れてもらえない。単にものをつくって価格勝負するのではなく、付加価値をつけて今回の受賞などでブランド価値も高めることによって、広く認知される企業になっていければと思っています」
 すでに水性ローバルは大手企業で試験的に採用され、高い評価を得ている。昨年は「第36回防錆防食技術発表大会」で、同社の水性ローバル開発者である中村健一氏が若手技術者優秀発表賞を受賞。名だたる大手塗料メーカー以外にも防錆に特化したメーカーがあるという存在感を存分にアピールした。国内外で技術講演を積極的に行い、技術力を発信している。今年4月にはドイツで開催されるEuropean Coatings Show 2017において、新たな技術を発表予定だという。「今でも他社メーカーと開発を進めていたり、大学と共同での研究も続けています。少数精鋭でやっているので、自分たちだけでは限界があります。そのできない部分を持っているところと目的が一致して、互いにWin-Winの関係を築いていきたいですね」

ブレイクタイム

Q

大きな決断をする時に大切にしていることは何ですか?

A

流れにまかせてみることですね。たとえば2つの選択肢があって悩んだ時は、感覚的に気持ちのいいほうを選ぶようにしています。いろんな人の意見を聞くと、どうしても気持ちがぶれそうになりますが、それでも自分がワクワクできる方を選ぶようにはしています。

Q

昨年一年を漢字一文字で表すと?

A

「始」。昨年1月1日の社長交代から始まり、振り返るとあっという間でした。今年はどう進んでいくべきかを表現していく年になります。

企業概要

企業名
ローバル株式会社
コア技術
ジンクリッチペイント(高濃度亜鉛末塗料)の製造
代表者
代表取締役 田中孝篤
住所
交野市幾野6-41-1〈交野工場〉
電話番号
072-892-7791
企業紹介
http://www.m-osaka.com/jp/takumi/7081/
企業HP
http://www.roval.co.jp/
資本金
1500万円
従業員数
27名

認証:ISO9001、ISO14001、国土交通大臣認定、建設技術審査証明